
目次
眉毛のモジャモジャを気にしていたあの頃、もう一つ気にしていたことがあった。
それはM字ハゲだ。
高校生の頃から僕のM字はM字だったのだが最近なんとなくM字がさらにM字になったような気がしていたのだ。
僕は毎週のようにアートネイチャーに通っていた時期がある。詳しく語ることはできないが、つまり仕事だ。その頃のボクはまだM字を気にすることもなくお世話になることなんて想像もしていなかった。でも今の僕は違う。薄毛が気になるのである。
というわけでアデランスとスヴェンソンには見向きもせずアートネイチャーに相談に行ったわけです。
※ちなみに当時お世話になった人たちは既に転職してしまったので特別なルートはありません。
1アートネイチャーとの闘い
そんなわけで昼メシを食べ終わって一服しながらおもむろにフリーダイヤルに電話をかけてみた。僕の希望は新宿本店・新宿中央店・銀座店・池袋店あたりで今すぐ超最短で行けるところ。しかしオペレーターの女性は「3日後の夕方か来週以降になります」と無情なことを言うのです。


え?そんなに混んでるの?
店舗も多いし今やハゲは治療する時代。スイスイで予約完了のつもりで電話したのにまさかのいきなりアクシデントに巻き込まれてしまったのです。
そしてこのあとさらにボクは劣勢に立たされるハメになる。
まさかの体験できない事件
僕は何事にも控えめな性格なのでイチオシの無料増毛体験には目もくれずに有料の「育毛体験コース」の希望である旨をお伝えした。
すると、なんということでしょう。オペレーターさんはまたもや「アートネイチャーへのご来店当日はヘアチェック(カウンセリング)のみ」だと言い出したのです。






つまりそういうことだ。
4,000円しか払わないで終わる体験者は手間だけかかるからヘアチェック(カウンセリング)だけで見込み客かどうかの選別をしてしまえば1時間で処理できると。
瞬時にそこまで察した僕は行ってやろう闘ってやろうと心の中で鼓舞したのでした。
2アートネイチャーにカウンセリングを受けに行く
戦闘意識むき出しの僕。とはいってもハゲ状況は普通に気になるのでプロの目で正しい判断をしていただきたくアートネイチャーの都内某店舗へと向かった。地価が日本で一番高い街にあるこの店舗は大通りに面したビルに入っていることを予習してきていたので迷子にならずにたどり着く。1階はドコモ。入口が少し分かりにくい構造で、わき道にちょっとまがって銀行の入口にも見える部屋を通り抜けてエレベーターに乗り込む。そして僕はとうとうアートネイチャーの入口にたどり着いた。
ドアは摺りガラスで店内が見えない。
そりゃそうかと思いドアを開けると目の前に無人の小さな受付カウンターがあった。
キョロキョロしていると受付の背側ドアから白衣を着た男性が爽やかな笑顔で僕にこう言いました。


特に手続きをすることなくカウンセリング室へと通されるのでした。
3戦慄のカウンセリング室 前編
アートネイチャーのカウンセリング室は大きな鏡がついた化粧台のような美容室みたいな席(鏡席)と、向かい合わせで座れる小さなテーブル席(テーブル席)の2つが配置された結構広めな部屋。
まずは鏡の前の鏡席に案内され名刺をいただくきそして問診票の記入をするよう依頼を受ける。
あまりのスムーズな案内に僕はいつものキョドリ癖が出てしまい、たどたどしかったに違いない。
空白の10分
問診票を記入する間、カウンセリング部屋の中は完全にボクひとり。すぐに疑心暗鬼になる性格のせいで、どこかで監視されているのか不安になって壁や椅子や机などありとあらゆるところを挙動不審に見まくってしまっいました。結局カメラらしきものもマイクらしきものもなかったと思います。いや、そう思いたい。だって記入中ずっと独り言言ってたからね。
お茶と男性と私
カウンセラーさんが退出して10分ぐらい経った頃、見計らったかのようにカウンセラーさん(男性)は冷たいお茶をもって戻ってきました。いよいよ始まる育毛体験への第一歩!なんだかんだ期待。

そんな思いを汲み取ってくれたのかどうかはよくわからないが、僕の記入した問診票に一通り目を通していろいろ根ほり葉掘り悩みの原因について質問を繰り広げらたのでした。








他にも問診表をなぞるようにメンタルチェックやたばこ・飲酒などの習慣について聞かれたりしました。メンタルチェックとは人目が気になるか、髪の話題に敏感か、外出が億劫か、ヘアスタイルがごまかしきれなくなったと思ってるかetcなど、いただいた冷たいお茶を飲みながら答えていきます。
契約とはそういうものだ


さすがであります。このタイミングでもう契約の話です。
一通り問診という名のヒアリングを受けた後、鏡席に移動して僕の頭をじっくりと観察する男性カウンセラー氏。
この後、アートネイチャー氏から発せられた衝撃の一言が僕の心をズキュンと突き破ることになるのでした。
4戦慄のカウンセリング室 後編




ん?
毛穴と毛の話
このページを読んでくれているぐらい薄毛レベルが高い人たちなら既知のことだと思うので詳細は割愛しますが、つまり健康な頭皮と男性型脱毛症やその他の脱毛症の概要について説明を受けつつ、ボクの頭皮を目視で凝視する男性カウンセラー氏がこんな追撃の一言を発しました。




まあまあ知っているけど一応聞いておこうと思いボクは「知りません」と答えたところ、おもむろに白紙に図を描き始める男性カウンセラー氏。
- 毛には毛周期というものがある
- 成長段階で抜けると、毛の密度が薄くなり、薄毛に見えてくる
- 毛の密度が薄く見える原因は、毛穴から1本しか出てなかったり、複数出ていても毛が細いから
- 細い毛があったとしても、毛周期では必ずあることだから心配する必要はない。ただし、薄毛に見えるということは正常ではない毛周期の毛がいるのかもしれない
嘘をつくのはよくないモラルがないと人には言っておきながらウソをついてしまいましたごめんなさい。
それはさておき、おおよそふーんという話で特に目新しい発見もなく。
それより僕の頭皮は一体どうなんだということが気がかりで憤りを覚え始めたころ、やっと男性カウンセラー氏が第三の矢を放ったのでした。
ハゲの審判


マイクロスコープを取りに行く男性カウンセラー氏。
そして僕の手元にはiPad。


いよいよドキドキの判定が下される時が来たのです。




なんと!
5育毛体験コースのはずが
結論から書いてしまうと、ボクは育毛体験コースを申し込みをして育毛体験を今日受けるか受けられないかの闘いに挑んだつもりだったのに男性カウンセラー氏の華麗なトークによって見事僕の頭は汚れていないという審判が下された結果増毛を勧められたのでした。
再び毛周期の話


ちょっと雑な絵で申し訳ないのだが、こんな絵を描きながら、男性カウンセラー氏は僕にアートネイチャーの神髄を伝授してきたのです。
6育毛とは、急下降する線を一般的な線までできるだけ引き上げること
これって自社商品完全否定じゃないの?
否定してないけど否定的じゃないの?
とボクはこの時、育毛体験コースの存在意義を悟りました。
育毛体験コースの存在意義
「ただし、頭皮環境は確実によくなるので、環境を良くしたいならおすすめします」
男性カウンセラー氏はそんなものにお金払うのかと言いたげな顔でそう説明し、続けて僕にこう言ったのだ。

育毛?それとも増毛?
「どっちが希望ですか」
「分からないと思うから、増毛のサンプルお持ちしますね」
なんということでしょうか。
すでに育毛という選択肢は消え去り、いつのまにか増毛体験コースに突入する勢いです。
増毛サンプルが目の前に/span>
「気にならなくなったでしょ」
たしかに僕の悩みは一気に解決してしまったのです。
しかしやはり内心納得がいかない僕。
増毛って永久ですか?とようやく反撃を開始したのだが、周到に用意されたサービスの全貌を垣間見て背筋が凍ったのは言うまでもない。
「結びつけた毛が抜ければ当然抜ける」
「自毛が育てば結び目位置が上にあがる」
「だから1~2ヶ月に1回修正・追加を繰り返していくイメージです」
「カット・カラー・パーマもやってるから、みなさんその頻度で来店して同時にケアしに来てますよ」
そうだ、実に通いやすい頻度。床屋に行くのと変わらないじゃないか。
もう今すぐ決めてしまおうかと思ったぐらいだ。
6アートネイチャーへの反撃の時
反撃材料は何かないのか、必死で考えた結果、育毛の質問をすることにした。
「育毛サービスの話も聞かせてくれませんか」と。
育毛が憎い
「育毛では毛包に幹細胞を注入します」
「幹細胞ってしってますか」
「幹細胞って毛をつくる細胞の素みたいなもので、これがないと毛が生えません」
「この幹細胞を毛穴から塗り込みます」
「だから毛穴は綺麗な方がいい。でもあなたぐらいならそんなに綺麗にすることにお金をかけることは重要じゃない。」
「あと、カンカエキスっていうのも注入します」
「男性ホルモンと、ある酵素が結び付くと男性型脱毛になるっていわれていてカンカエキスっていうのは男性ホルモンと酵素が結び付かないようにする成分です」
「この2つの成分で、男性型脱毛に対するアプローチと、毛をつくるためのアプローチをしていくことで抜け毛の進行を遅らせるというか、環境を整えて通常の進行に引き上げようとします」
「あくまで毛量を持ち上げてくイメージ。V字回復はしない」
「そんな育毛には2種類方法があって、サロンケアとホームケアがあるんだ。サロンケアはリラックスできたり、しっかりできるメリットがある。でも月1~2回の来店が必要だし、月1~2回しかケアできない。ホームケアは同じ成分を自宅で使えるから、どちらかならホームケアの方が毎日できる分いいと思うよ」
なんとここでもお店に来るな攻撃をされてしまった。
そんなに育毛コースが憎いのか。
売れないじゃない、売らないだ。
「予算はいくらぐらいで考えてました?ベーシックなプランだと1回15,000円ぐらい、季節ごとに内容が変わる充実したプランだと1回20,000円ぐらい、1回やって何ヵ月も空けたら意味がないので毎月1回、12ヶ月コースになってます。だいたい奥さんの美容室代と変わらないぐらいだと思いますよ。」
・12ヶ月一括払い:162,000円(1回13,500円)
・12回払い:15,400円
「1回あたり13,500円なので162,000円の契約です。無理なく払いたいということであれば、12回払いにして15,400円。体験したいってことであれば5000円で体験できます。体験時に契約すれば無料にするので、計13回で162,000円。増毛でもたぶん1500本ぐらいだと思うので、おなじぐらいだと思いますよ」
なんと最後まで増毛推し。
7アートネイチャーに敗北した僕
育毛体験したくて予約したのに、2時間みっちり話をして増毛の提案を受けておしまい。
一体なんだったのかなあ。
やっぱりいつでも無料増毛体験 実施中!なのは育毛よりおすすめしたいってことの顕れなんですね。
あれから数か月、アートネイチャーから営業電話が来ることもなく現在に至っている。
8アートネイチャーから封筒が届いた話
新年早々、送付元不明の謎の封筒が届いた。

正月早々、僕宛に届いた謎の封筒